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| ● カウンセリングを通じて見たセクシャル・ハラスメント |
1988年のことです。初めてセクシュアル・ハラスメントの相談を受けたときはまだ私自身も「セクシュアル・ハラスメント」という言葉は知りませんでした。しかし、なぜか同じような相談がたくさんあったのです。そこで、いろいろな情報を集めてみると、どうやらアメリカには「セクシュアル・ハラスメント」という言葉があり、それに該当しそうだということがわかりました。ただ、まだ日本では新聞等にもそういう言葉がほとんど出ていませんでした。
その後、1988年秋に日経産業新聞からセクシュアル・ハラスメントについてのコメントを求められました。当時は「こういう言葉が世の中に広がっていくのかな?」との思いもありましたが、それ以降、特に1989年から急速にマスコミで取り上げられるようになり、あっという間に、多くの人が認知する言葉となりました。それだけ多くの職場で現実には起こっていた問題だったからかもしれません。それからもう10年になります。
セクシュアル・ハラスメントの問題は、ひとつは人権の問題として、見逃すことができません。と同時に、1999年4月から施行される改正男女雇用機会均等法に、事業主のセクシュアル・ハラスメントに対する配慮義務が規定されたことで、企業にとっても経営上軽視することのできない問題となってきました。
対応を誤れば企業自体も大きなリスクを被ります。マスコミに取り上げられ、消費者の反発をかって業績が悪化するようなことにでもなれば大変です。株価も下落するかもしれません。また、その会社で働く何の関係もない多くの従業員は、「セクハラ企業の従業員」というレッテルを貼られ、業績次第では生活までもおびやかされることになるのです。経営者にとっても、従業員にとっても、株主にとっても軽視できない問題です。
この問題はまた、「心の問題」でもあります。この点に配慮しなければ、どのような対応もできません。特に、被害者の心には十分に配慮する必要があります。被害者だけに我慢を強いるなど、被害者の気持ちをさらに傷つけてしまうような対応が見受けられます。
と同時に、私がこれまで携わってきたケースの中には、加害者がものすごく悩んでいるケースや、訴えられるのではないかと極度に苦しんでいる監督責任者もいました。実は、加害者や監督責任者に対しても、それぞれの立場を考慮し、きちんとカウンセリングなどのサポートをしないと本当の再発防止には結びつかないのです。なぜなら、例えば加害者が自分の不安を解消するために、直接被害者と接触して自分勝手な解決をしようという行動をとらないとも限らないからです。被害者が加害者と二度と会いたくないというようなケースでは、再び被害者を傷つけてしまうことにもなりかねないのです。
私たちは、産業カウンセラーの立場から、微力ながらこの問題の真の解決に向けて取り組んで参ります。
男性も女性も、従業員も経営者も、企業自体も発展する、そんな世の中になることを、心より願っております。
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| 1.どんなタイプがあるのか? |
| ●対 価 型:「拒むなら、もう会社にはいられなくなるぞ」 |
性的な言動を断ったために、女性労働者が労働条件に不利益を受けた場合
(不利益をほのめかされたような場合も該当する)
| ++ 例 ++ |
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出張の際、上司から性的関係を要求され、拒否をしたらその後のボーナスの査定を最低ランクにされた。 |
| * |
社長から、外回りの営業車の中でホテルに誘われたり交際を要求されたが、拒否をしたら、自分のみ定期昇給の対象から除外された。 |
| * |
女性労働者が顧客の性的要求を拒否したら、契約を断られた。 |
| * |
上司の性的要求を拒否したところ、仕事が回されなくなり、結果として昇進の対象とならなかった。 |
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| ●環 境 型:「あいつはふしだらな女だ」 |
女性労働者にとって意に反した性的言動があり、就業環境が害された場合
| ++ 例 ++ |
| <身体接触型> |
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上司がいきなり給湯室で抱きついてきたので、その場は抵抗して逃れたが、出勤するのが恐ろしくなった。 |
| <発 言 型> |
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会社内、得意先などに「性的にふしだらである」などの噂を流され、職場にいるのがいたたまれない。 |
| <動 作 型> |
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化粧室や更衣室の前などで、胸や腰をじっと見る男性労働者がおり、とても不安である。 |
| <視 覚 型> |
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職場に恒常的にヌードポスターが貼られており、仕事をする場にふさわしくないため掲示をやめるように抗議したが、掲示されたままで非常に不快に感じている。 |
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| ●グレーゾーン:「女なんだからお酌くらいしろ」 |
性的言動ではないが、女性であるという属性に基づく性別役割分担意識に基づくいやがらせ(=ジェンダー・ハラスメント)
| ++ 例 ++ |
| * |
お酒の席でお酌を強要する。 |
| * |
カラオケで、デュエットを強要する。 |
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■ポイント1 男性に対するセクハラは?■
厚生労働省(旧労働省)の発表したガイドラインは、男女雇用機会均等法に基づいているため「女性労働者」の場合に限定されており、男性労働者に対するセクシュアル・ハラスメントについては盛り込まれておりませんが、当然のことながら男性労働者に対するセクシュアル・ハラスメントも存在します。 |
■ポイント2 取引先も職場とみなされます■
取引先でのセクシュアル・ハラスメントも「職場のセクシュアル・ハラスメント」に該当します。ガイドラインでは、「職場」に該当するものとして、業務命令で行った場所も入れています。したがって、取引先で受けた性的言動は、職場におけるセクシュアル・ハラスメントと見なされ、男女雇用機会均等法上の雇用主の配慮義務の範疇です。 |
■ポイント3 判定基準はどうなっているの?■
判断基準は、あくまでもケースバイケースですが、まず、「女性が不快に感じていること」があげられます。ただし、女性にも個人差があるため、ちょっとしたことでも極めて不快に感じやすい人から、ほとんど不快に感じないという人もいます。そこで、女性が不快に感じることすべてを対象としているわけではなく、「通常の女性が不快に感じること」というのが一応の基準になっています。また、繰り返しその行為が行われているかどうか、一回でも悪質かどうかという点も判断基準のひとつとなります。 |
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| 2.男女ともに認識は低い |
多くの項目を上げて、「こうした行為がセクシュアル・ハラスメントの観点から問題になると思いますか」という調査をしましたところ(労働省調査)、対価的な行為、就業環境阻害的な行為の項目では、女性より男性のほうが、「問題となると思う」とした項目が全般的に多くなっています。しかし、性別を理由とした差別的な行為の項目に関しては、女性のほうが「問題となると思う」とした割合が高くなっています。
いずれにしましても、男性従業員、女性従業員ともに認識はあまり高くなく、むしろ、経営者のほうが認識が高いようです。
経営者でも、海外に進出しているグローバル企業の経営者層は高い認識を持っているようです。 |
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| 3.セクシャル・ハラスメントはどうして問題とされるのか? |
| ●人権の側面 |
セクシュアル・ハラスメントは人権侵害行為です。
本来これは、セクシュアル・ハラスメントの問題に限りません。性別や人種や年齢等を理由とした差別やいやがらせ行為はすべて人権に関わる問題です。 |
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| ●企業の負う多大なリスクの側面 |
| セクシュアル・ハラスメントに対する企業の配慮義務が法制化されたことにより、認識の低い企業は、大きなリスクを負うことがあります。 |
| ■男女雇用機会均等法 21条 (1999年4月施行) |
(職場における性的言動に起因する問題に関する雇用管理上の配慮)
第21条 事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する女性労働者の対応により当該女性労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該女性労働者の就業環境が害されることのないよう雇用管理上必要な配慮をしなければならない。 |
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| 4.どうしてセクシャル・ハラスメントが起こるのか? |
| ●コミュニケーション不足 |
| 最大の理由は、日常のコミュニケーション不足です。日常から、良好なコミュニケーションがとれていれば、相手が「どんなことを言われたら不快に思うか」「どんなことをされたら不快に思うか」ということは自ずからわかってくるはずです。 |
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| ●コミュニケーションギャップ |
しかしながら、コミュニケーションというのは単に会話をしていればいいというものではありません。相手との価値観の違いも認識した上で、相手を尊重することが基本になります。
例えば、女性に対して「今日はデート?」などとプライベートなことを聞くのも、男性側はそれをコミュニケーションと思っていても、ただ単に不快なだけという女性もいます。これは、本当のコミュニケーションとは言えません。 |
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| ●男女の役割の固定化 |
| 男女の役割を固定化した価値観からもコミュニケーションのギャップは生まれます。「女性はお茶を入れる、男性は荷物を運ぶ」という価値観も、ひとつの価値観ではあっても、誰にでも受け入れられる共通の価値観とは言えなくなっています。価値観が多様化していることを認識し、違う価値観の人も受け入れることができないと、セクシュアル・ハラスメントだけではなく、世代間の断絶など、人間関係のあらゆる面で多大なトラブルを生むことになります。 |
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| 5.対応のポイント |
刑事のように被害者から事情聴取してはダメ!
被害者から相談を受けた場合は、事実の確認をしなければなりませんが、その際、被害者を問いつめるような口調になったり、相手の心に配慮せず、「真実の追及を行う」というような刑事のようなつもりになったりしては、相手をかえって傷つけます。
まず、相手の話に十分に耳を傾け、相手の意をくむことが大切です。決して自分が話しすぎてはいけません。「相手の話を聞く」ために行っているのですから。 |
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